ボルシアMG × ドルトムント ブンデスリーガ
初の今シーズンのゲームの記事です。
個人的にブンデスの好カード。
特にボルシアMGに対して今シーズンのCLで好印象を持ちました。
グループリーグ最下位ですけど、と言う反論は気にしません。
ドルトムントは初めて今シーズン初見。
ポゼッションが特徴と言う噂が入ってきています。
ちなみに香川は出場していません。
まず、ボルシアMGのリトリート対ドルトムントのポゼッションのスタートポジション。
主にドルトムントは左サイドから崩しにかかる。
パク・チュホが低い位置で起点になり、ムヒタリアンと二人で、相手SHとSBを引っ張り出し、SBの裏にスペースを創りゴンサロ・カストロに使わせる事。
スペースを使いアタッキングサードまで侵入することまでできていたが、ボルシアMGもいい対応でシュートまで行くことはなかった。
中央攻撃では、インサイドハーフ(ギュンドガン、ゴンサロ・カストロ)がサイドよりにポジションを移す。
それによって、ボルシアMGのボランチとボランチの間を開かせ、アタッカー(ムヒタリアン、ロイス、オーバメヤン)にバイタルで受けさせる、または、そこでポストプレーでインサイドハーフに落してコンビネーション。
25分頃から、ヴァイグルが左サイド攻撃に参加できるくらいの距離まで加勢。
ヴァイグルを中心に攻撃をして、左サイドがダメならサイドチェンジで右からと言う場面が多くなる。
このような形で崩しの作業を行っていたドルトムント。
しかし、この局面に持ち込むには、ある程度の高さまでボールを運ばなければならない。
ドルトムントはトランジションとスローインなどのボルシアMGが守備ブロックを構成できていない時にボールを運び、崩しに移行していた。
だが、ドルトムント自陣の低い位置からのビルドアップでは、ボルシアMGがビルドアップをさせないための工夫を凝らしていた。
いわゆる嵌める守備。
4-3-1-2の形になりマークを決めてCB以外ボールを触ることすらさせない。
ドルトムントはSBが下がってボールを受けることも数回したが、トラオレがプレスに行き、ボランチとSBが連動しパスコースを与えず攻略できず。
このパターンにはまると、低い位置からグラウンダーでつなぐ戦術をとっているが、GKが前にボールを蹴る事を選択する。
ダフードが1度だけヴァイグルをマークするのを忘れ遅れてマークしに行った場面があり、そのわずかな隙をヴァイグルは見逃さずボールを受けピスチェクに「前を向け」と言わんばかりのメッセージ付きのパスを出しビルドアップ成功するシーンがあった。
もう既に何度もこのパターンをやられていて、周りの状況を確認するのを怠っても不思議ではない場面で集中を切らさず、自分の力を発揮する。たった一度の隙で。
さすが20歳でドルトムントのアンカーやってるだけあるなと感心した。
スタートポジション
まずはじめに、図にはしてないが、両チームこの形のまま全体を下げてボルシアMGゴール前でドルトムントが前プレをする。ボルシアMGとは違い嵌める守備ではない。
ボルシアMGはこれをパスを繋いでかわせるときもあったが、多くはロングボールで回避した、そのロングボールの回収率は高くなかったがロングボールを蹴らせると言う意味では、機能していた。
ドルトムントのゴールキックも含め、GKから蹴ったロングボールの回収率は、ボルシアMGのCBとノルトベイト3人の身長が180後半
ドルトムントのアタッカーはオーバメヤン以外180以下、オーバメヤンは185あるが、スピードを武器にしている選手なので競り合いは強くはない。
答えはいわずもがな。
そして前プレを回避された時、前プレに行くのか行かないのかチームとして意思が曖昧な時があった。
それによってCBからビルドアップ出来る場面の陣形が上の図。
ラファエルは中盤に降りて、サイド攻撃にも参加し、プレーエリアが広かった。
中央攻撃でCBがフリーでボールを持ったらヴァイグルの周りのバイタルをねらっていて、このシュチュエーションで半分以上は縦パスを入れていた。
縦パスの受け手は両SHかラファエル。
複数受け手がいる為、ヴァイグル一人では対応できず、縦パスを通すことができる。
通った場合、DFラインの選手が対応に出てくる。
ドルトムントのSBはボルシアMGのSBも見なければいけないので、バイタルのSHを見るか、SBの対応に出るか難しい役割だった。
縦パスが入ったら攻撃のスイッチが入り、ダフードも一緒に前線に上がることが多い。
スイッチが入るとバイタルで近くの選手と素早いパス交換をして、ボールホルダーが前を向いたら、アタッカーのスペースを作る・使う動きが活発になる。
バイタルで受けると、ドルトムントDFが飛び出している為、一時的に3バックになり、
DFラインが崩れている所を狙っている。
中央攻撃の特徴としてアタッカーがペナルティエリアの幅の狭いエリアでプレーをしている。
トランジションの局面では、
ボルシアMGがいい形・いい位置でボールを奪えばオフザボールでフリーになり受けて、叩いて、前を向いたボールホルダーを使い、アタッカーが中央に集まってコンビネーションでこじ開ける。
メカニズムとしてはポゼッションと大きく変わらない。
ただ、深い位置まで押し込まれたときはドルトムントのネガトラも早いのでクリアで精一杯。
一方、ドルトムントは守備ブロックを組んでる時、WG(ロイスとムヒタリアン)が基本的な守備タスクは課せられてるが、自陣ゴールに近い時は人数が足りてれば深い位置(ペナ横)まで下げないようにいていたので、ポジトラの局面でカウンターでの攻撃参加の速さを意図的に生み出していた。
ボルシアMGが守備ブロックが組めていない時は、右サイドのDFラインの裏を狙っていて、ドルトムントの決定機の多くは右サイドのDFライン裏をとったパターンだった。
そして、まさしくその形でドルトムントが40分にゴールを決める。
後半
修正点は両チームブロックを自陣のエリア2に下げて組むようになった。
つまり、相対的にリトリート対ポゼッションの局面が多くなる。
ドルトムントはビルドアップでフンメルスが持ち上がって配給役になることで、崩しの質を上げる。
ドルトムントはバイタルを使われていたのでDFラインを下げて裏のスペースを減らし、裏を取られることだけは避ける采配。
バイタルを使われる場所が大きな裏のスペースがあるゴールから離れた場所から、
裏のスペースの少ないゴールの近い場所になった。
49分にドルトムントカウンターで追加点。0-2。
55分頃にバイタルを使われ続けたドルトムントは、もう一度中盤の4枚がプレスをかけて相手ボールホルダーに制限をかけに行く。
効果が出たものの使われなくなるわけではなく、サイドからバイタルに侵入され
57分にボルシアMGのラファエルがゴールで1点を返し2-1。足裏を使いシュートフェイク。
ブラジル人らしいフットサルのテクニックを披露。
バイタルの使い方
前半からもあったプレイだが、パスでバイタルを使うのがベターだが、今日のボルシアMGはサイドでボールを受け、SBがプレスに来ても、無理やり中央にドリブルで侵入する。
この方法が可能だった理由として。
・フィジカルの低いパク・チソンに個人能力のあるラファエルをマッチアップさせミスマッチを狙った。
・ドルトムントの守備ブロックが4-1-4-1なのでシステム上バイタルが空いている。特にサイドのバイタルは対応が難しい。(対応する選手が誰なのかという問題)
・中盤の選手がプレスバックをしなかった。
この理由が挙げられる。
条件が揃っていれば費用対効果は高そうな戦術である。
話を試合に戻す。
1-2になってからはトランジションが多い展開になる。
両チームともに相手にポゼッションをさせないために高い位置から守備に行く。
そうすると、ミスやリスクマネジメントのためにボールを放棄する回数が増え、攻守が切り替わる回数も増える。
という流れ。
69分ドルトムント選手交代 ロイス→ドゥルム、
ゴンサロ・カストロ→ギンター
システムを4-4-2に変更。
システムの構造的にバイタルが狭くなりやすくなる。実際にもそうなった。
今日のドルトムントの一番の守備の問題点が修正されたこととなる。
更には、ポジションチェンジをしなくなる。
攻撃面でスペースを創りづらくなるが、守備面ではトランジションの局面では穴がなくなり、カウンターを受けづらくなる。
まさに、短所と長所は紙一重。
まとめると試合を殺しに入る采配。
その後、ボルシアMGは選手交代をするが、大きな変化はなく試合終了を迎える。
あとがき
ボルシアMGは攻撃面では素晴らしいものを見せてくれた、守備ブロックもしっかりしている。
引いた守備は去年までルシアン・ファブレが率いて教科書のようなゾーンディフェンスを組んでいたから名残がある。
だが、この結果になった。
要因は、ネガトラ(守→攻の切り替え)の部分、ここが大きな弱点となっている。
スピードを殺すことが出来ず、人数が少ない状況でゴール前を守る為の個人戦術にも問題があったように見えた。
この部分が改善されればCLで決勝トーナメントを1つ2つ駒を進めるようなチームになれると考えている。
現代サッカーで勝ち残って行くのに、大きな弱点が一つあると致命傷なので。
ドルトムントの4-1-4-1のリトリートはやられっぱなしだった 。
ただ、そこからのカウンターで3得点して失点1で勝利をしている事を考えると、収支はプラスなので、最終的なスコアで判断すれば全否定はできない。
あと、クロップ×ドルトムントを見たあとにトゥヘル×ドルトムントを見ると、
クロップ×ドルトムントのゲーゲンプレスとプレスの強度の質の高さを思い知らされる。
ドルトムント × マラガ 12-13 CL Quarter Final 2nd leg
前回の記事の2試合目
この対決の行く末が気になりこの試合を選びました。
結果としては2戦合計3-2でドルトムントが勝ち上がり。
前半1-1で、後半82分にマラガ逆転。
アウェーゴールにより、あと10分で2点な場面で、ロスタイムに2点入れると言う
近年のCLトップクラスのストーリーを描きあげる。
このブログで注目していくのは。
1st legでドルトムントが圧倒した内容だったのに、エンターテイメントとしては最高だがドルトムントにとって心臓に悪い試合展開になった。
その理由となる、マラガの戦術と、それに対してのドルトムントの戦術について。
コンパクトであることの重要性
1st legでは守備に重きを置いていない設計だったマラガ。
その部分では前回の記事で触れた通り。
今回は特にリトリートの場面で緻密に組むことで、ドルトムントを苦しめた。
ブロックの密度(コンパクト)と守備ブロックの初期設定位置が大きく変わった部分。
1st legと比較すると、FWとSHの距離が、DFラインとダブルボランチに近づきフィールドプレイヤー全員が守備で協力できる距離感。
前回の攻撃陣と守備陣が別れたようなものとは真逆の設計。
守備ブロックの位置は、FWがドルトムントエリア3からDFラインがマラガエリア2
と、かなり高い位置に守備ブロックを組む。
SHは前回同様スタートポジションがボランチの横に位置していないが、そもそもコンパクトさと、守備ブロックの位置が違うので、デスコルガードとは違うと考えていいでしょう。
FWは役割はドルトムントのボランチ(特にギュンドガン)へのパスを遮断とプレス、味方ボランチの前でボールを持ったら、プレスバックを行い、余裕(時間)を与えず、効果的なプレーをさせない。
ベンダー、ギュンドガンがCBの横やSBのエリア(元々シュメルツァーや、ピスチェクがいた場所)に移動しても、味方SHのポジショニングや、状況を見ながら受け渡したり、自分で行ったりケースバイケースで見ていた。
CBには適度にプレッシャーをかけていたが、あくまでボランチを気にしながら。
最優先はボランチの対応。
マラガは更に、中盤の真ん中(4-4-2の4と2の間)ではボランチもベンダー、ギュンドガンの対応出てくるのでFWのプレスバックとで挟みこむ。
ボランチを経由してビルドアップできないドルトムントは、唯一ほとんどプレッシャーの来ないCBから直接アタッカー(SH、FW)に縦パスを送るも、SHにはSB、FWにはCBが厳しいマークしている為(少しポジションを下げてもそのままついていた)バックパスぐらいしかできない。
これによって、マラガはボランチ絡みのミスでショートカウンターを数回繰り出すことが出来た。
受け手にも出し手にも余裕を与えないマラガの守備でドルトムントはビルドアップをすることも困難な立ち上がりとなった。
受け手にも出し手にも余裕だらけだった前回とは大きく違うところ。
ドルトムントのディフェンスは相変わらずのクオリティーでマラガのポゼッションにも、ポジトラにも組織的な堅い守備を見せていた。
マラガは攻撃面では1st legとほとんど変わらない。
J・バプチスタが中盤に降りて体を張り、ポストプレーをして押し上げるプレーが効果的だった。
球離れを速くしたり、パターンを1つ持っていてそれを使って前回の試合よりは、崩す場面が増えたが、最後のシーンではやらせなかった。
マラガはビルドアップが成功すると、SBをあげて攻撃するので、ドルトムントはカウンターSBの裏を使い、アタッキングサードまで持っていくシーンを少し作ることが出来た。
15分以降からはドルトムントがマラガのリトリートに対して対応する。
CBやSBが時間のある状況でボールを持っているとき、アタッカーの選手が中盤に降りてきて、ボランチの視野にあえて入ってから、スペースにスプリントする。
そうすることで、ボランチはついて行き、スペースを空ける。
そのスペースをギュンドガンが使い、アタッキングサードに侵入したり、バイタルに縦パスを入れるようになる。
流石にここまで深い位置だと、FWのプレスバックが遅れる。
少し後には、レバンドフスキにCBと競らせるロングボールを使いセカンドボールを拾ういわゆるダイレクトプレー。
マラガの堅いディフェンスを浮き球で回避する戦術を採った。
その数分後の24分マラガのカウンターからホアキンの先制点が生まれる。
先制点以降のドルトムントは、先ほど書いた、ボールを持っている時はロングボール、セカンドボールに加えて、プレスの開始位置を高くし、更にプレスの強度を強め試合のテンポを上げて偶発的な場面を増やす。
セカンドボールやトランジションなどの偶発的な場面はどんな状況でも組織的なディフェンスが出来るドルトムントの長所。
その回数を増やす采配を決断したクロップ。
39分にレバンドフスキの同点ゴールで前半終了。
しっかり修正を加えてきたペジェグリーニ。
やっとCLらしい試合になった。
1st legのディフェンスはなんだったのだろうか。
守備を犠牲にしてまでカウンターの威力の強化の為に行ったデスコルガード。
2nd legは高い位置に守備を設定し、フィールドプレイヤーが10人守備に参加した状態で、高い位置からカウンターを繰り出すことに成功。
攻守両立する戦術を設計した。
まさに、いい守備からいい攻撃が生まれる。
ドルトムントからしたら、1st legで試合を決めれなかったのが痛すぎる。
ただ、試合内容はイーブンなので悲観する必要は全くない。
後半
マラガの修正点は、SBの攻撃参加がほぼなくなったことと、後半途中からミドルシュートを増やし攻撃を完結させてカウンターを受けないようにリスクマネジメント。
ドルトムントはポゼッションでひと工夫。
おそらくマラガが要注意人物と認識されてるであろうギュンドガンがいい意味で曖昧なポジションを取る。
フリーで受けたシュメルツァーがドリブルでアタッキングサードまで運ぶまたは、攻撃の起点になり、縦パスを入れる。
ロングボール攻撃では、レバンドフスキにロングパスを送ったと同時にDFラインの裏にスプリントし、ヘディングのそらしを受ける動きや、セカンドボールを拾い前を向いたら、複数の選手が足元でもらうのではなく、裏に走ったり、スペースに走ったり、それによって出来たスペースを使うようになり、オフザボールが多くなり、連動するようになった。
ロングボールの起点づくりとしてピスチェクがサイドの高い位置に上がり、アントゥネスを狙う。
身長10cm差のマッチアップを選びロングボールの成功率を上げる。
後半立ち上がりはドルトムントペースで進み、少し経つとオープンな展開とセットプレーが多くなる。
オープンな展開になってからは、ややドルトムントペース。
セットプレーではマラガに得点の気配があった。
71分ドルトムント ブラシチコフスキ→シーバー
ベンダー→シャヒン
73分マラガ ドゥダ→エリゼウ
この交代でシステムはこうなった。
ゲッツェとレバンドフスキが中盤や最終ライン付近に降りてきてサポートすることが多かったので、中盤表記にしたがレバンドフスキは最前線にいることも多かった。
ここからは戦術はほとんどなくロングボールやアドリブのコンビネーション。
お互いがゴール前を行き来する展開で決定機の量はドルトムントの方が多かった。
しかし、81分にマラガのエリゼウが逆転ゴールを決める。
スボティッチ、フンメルス、シャヒンを後ろに残して空中戦モンスターのサンタナを前線に上げ絵に書いたようなパワープレー。
そして、4分間のロスタイムで2得点。
劇的な逆転でホイッスル。
スタッフ含め全員ピッチに飛び出し、サポーター全員が雄叫びをあげ続ける。
ジグナル・イドゥナ・パルクが熱狂の坩堝と化した。
あとがき
戦術の設計って大事だね。ってことの証明のような2試合。
チームの力を最大限に出す為には、攻撃も守備も全員で行うべきで、それを監督が、選手の個性と照らし合わせて組み合わせチームの戦術を決めて意思統一することが必要。
個人のポテンシャル、モチベーションだけではなく、それをまとめて組織の最大公約数にする為のツールとして、戦術の意味のひとつであると再確認した試合だった。
マラガ × ドルトムント 12-13 CL Quarter final 1st leg
このシーズンのCLのダークホース対決
マラガは初出場
このシーズン前にカソルラがアーセナルに引き抜かれた事を思い出す。
ちなみにこのシーズン終了後イスコが引き抜かれる。
ドルトムントはこのあと決勝まで上り詰める。
1シーズン前の11-12で香川在籍時に出場してGS敗退して、リベンジのシーズン。
この試合のフレーム
マラガは4-2-2-2でリトリートする。
4-4-2の亜種と言ってもいいかもしれない。
4-2で守り、SHは自分より前にボールがあるときプレッシャーに行くが、自分より後ろである場合、ほとんど守備に参加しない。
時々気まぐれで参加することもある。
ドルトムントのポゼッションはアタッカーの4人(FW、トップ下、SH)が自由にポジションチェンジして、サイドの幅はSBが取る。
ドルトムントは主に2パターンで攻める。
・中央で数的優位を作り、フリーのギュンドガンがアタッカーにパスを供給して、DFラインの前で前を向く
・サイドでボールを持ち、人の意識が強い(プレッシャーをかけに行ったり、マークをを頻繁に行う、動きの多い)マラガのSBをボランチの横まで釣り出す。
それによって出来たSBの裏のスペースを使い崩す。
下の図がその一例
主にこれらのパターンを使いドリブル、スルーパス、ワンツーなどのコンビネーションで崩す。
ドルトムントは立ち上がりから多くのチャンスを作り、いつ点をとってもおかしくなかった。
ただ、一番大きな理由としては、マラガのディフェンス。
現代サッカーで守ることを考えたときに、オーソドックスなのが8、9人。
最低7人、多い時は10人で守ることを必要とされている。
この試合でマラガは基本は6人。
CL決勝トーナメントレベルのチームならこうなるのが普通といったところ。
では、なぜマラガがこの様なディフェンスでこの試合に望んだか。
それは、カウンターに重きをおいていたから。
どんなことにもメリットとデメリットが存在する。
SHはほとんど守備に参加しないで、高い位置をキープしている。
マラガがボールを奪い守→攻に切り替わった時通常の4-4のブロックで守ってる時より高い位置からスタートを切ることができる。
この、カウンターのために高い位置を保つプレーをデスコルガードという。
ペジェグリーニはボランチの横を守ることより、ポジティブトランジションを強化することを選んだ。
しかし、ドルトムントはマラガのSHに対してSB、ボランチ、またはCBで対応している。
デスコルガードをした効果は、やらなければもっとガチガチに押し込まれたと思う。
カウンターでアタッキングサードに侵入する場面も増やせた。
ただ、これによって相手を苦しめたと表現することはできない。
一方ドルトムントは、オーソドックスな4-4-2で守備ブロックを組む。
コンパクトでプレスの強度も高く、1stディフェンダーが狙いを持ってプレッシャーをかけ、2nd、3rdディフェンダーが予測をしていてまさに連動した組織的なディフェンス。
ドルトムントはボールを失った瞬間に組織的なディフェンスを、ルーズボール、リトリート、どのような状況でもすぐに連動していた。
ボールホルダーが苦しくなったら、2、3人で奪い取る。
決まったパターンだけ連動しているわけではないので、自分たちのプレーモデルや哲学などがチームの1人1人に相当浸透していないと成せない技。
ドルトムントは10人で守りながらも、運動量と素早いトランジションで、人数を掛けたカウンターを行う。
守備ブロックの初期設定をピッチのど真ん中に設定
(各チームのハーフコートを三分割してゴールライン側から数えた場合、
ドルトムント陣地エリア3に最終ライン、2トップをマラガ陣地のエリア3)
したこともあり、ゴールまでの距離が近いことも助けた。
相手からボールを奪ったら2、3秒で縦パス、前を向けなければ前を向いている選手に落として。スピードアップ。
カウンターとチームで判断したらスピードを落とさずアタッキングサードに侵入していた。
マラガのポゼッションの局面。
サイドに3人(FW、SH、SB)を集める
ドルトムントは4人(CB、SB、ボランチ、SH)で対応する為、回数の割には効果的な攻撃にはならなかった。
一発のパスでサイドチェンジを行っていたが、ドルトムントの守備ブロックを寄せることができなかったため、逆サイドにスペースができず時間を作ることができなかった。
一番有効だったのは、イスコかJ・バプチスタがドルトムントの両ボランチの間に入り最終ラインからパスを受けキープして中央に寄せてから、サイドにパス。
このプレーが一番ボールホルダーに時間を得た状態でパスを送れていた。
前半は0-0
マラガはデスコルガードで多くのチャンスを作っているわけではなく、守備面で大きな損失を抱いている。
ドルトムントは守備でも攻撃でも常にスペシャルなハードワークをして、守備ブロックは10人で、デスコルガードをせずとも、カウンターに人数を掛けていた。
2、3点取っていても不思議ではない内容。
後半
マラガはSHの守備を調整
ゴール前に押し込まれても、守備に参加しないマラガの両SHだったが、ボランチの横まで下がるシーンが多くなった。
しかし、常に横まで帰ってくるわけではなく、スタートポジションは前半と変わらず、デスコルガードを意識。
ただ、これだけでも結構組織としての守備の質はあがった。
前半のドルトムントはプレッシャーが来ないから、アタッキングサードでコンビネーションの呼吸を合わせる余裕すらあった。
バイタルでのマラガCBのマークもきつくなっていた。
スタッツにも現れていて、この試合のチャンス9の内、前半6、後半3
チャンスの量半分に減っていた。
マラガはポゼッションでイスコにボールを集める回数が増える。
サイドでイスコがキープして2、3人引きつけてスペースを作りそのスペースを利用してフィニッシュまで持っていくシーンが増える。
トゥラランがイスコのプレーも含め前の選手が作ったスペースに遅れて入っていくシーンが増え、前半ほとんどなかったドルトムントブロックを崩すシーンを増やすことに成功した。
ただ、ドルトムント優勢は変わらず、プレッシングの位置も少し高くなり、ショートカウンターの回数が少し増えた。
なんだかんだで、スコアが動いていないドルトムントは、得点の可能性を上げる作業。
マラガは75分にJ・バプチスタに変えて、サンタクルスを投入して、ロングボールをメインにしたが、ブンデスリーガのCBには効果的ではなかった。
スコアは動かず0-0で試合終了
試合を通してドルトムントが攻守で上回っていた。
チームでやるべきプレーを理解して組織で連動し実行に移せる。
「どんな状況でも」1stディフェンダーがプレスをかけ、連動し予測して相手チームの攻撃の詰まらせ、時にはとどめにボールを2、3人で奪い取る。
このチームがメディアで大きく取り上げられ、結果も残した理由がよくわかった。
この試合のマラガはチーム設計の問題なので、本当の実力ではないはず。
後半SHの守備にテコ入れしただけで、変わったことでよくわかる。
ただ、プロの世界はピッチで披露したプレーがホントの実力だけれども。
チェルシー × アトレティコ・マドリード 13-14 CL Quarter Final 2nd leg
アトレティコが久しぶりにCLに出て決勝でマドリードダービーのシーズンです。
最近チェルシーがモウリーニョを解任しましたが、モウリーニョチェルシー第2章の1年目です。
この試合を選んだ理由はありません。
それがこのブログです
早速行きます。
前半はチェルシーがボールを持ってアトレティコがリトリートの展開で試合が流れていく。
アトレティコは4-4-2で守備ブロックを組む。
アトレティコの守備ブロックの特徴
・位置設定は、アトレティコ側ハーフコートを3分割した真ん中に4-4のブロックがあって、その前に2トップ
・縦にも横にもコンパクト
・ブロック全体でスライドをしっかりする
・DFラインはSBがサイドの対応に出たときCBもしっかりついていき、DFラインの距離を保つ
・DFラインの距離を保つ為にチアゴがDFラインに入ることもある
チェルシーはアトレティコのエリアに入ったらサイドでも前を向くことができない、それに対してチェルシーのポゼッションは、サイドチェンジで時間を作る。
ブロックの外でボールを回して片方のサイドに寄せて逆サイドにできたスペースで、
前を向く、アトレティコの守備ブロックの特徴を逆手に取る。
だが、アトレティコもこの戦術には慣れっこ、SBを出して対応、カバーもしっかり行われている、アタッキングサードに入るも、ペナ横には時間のある状況でボールを持てない。
ただ、アトレティコもアザールは意識していて、かなり厳しく行っていた。
特にファンフランは守備の時間帯はずっと意識して、マンマークでないにしても、
アザールにボールが渡りそうになったら、プレッシャーに行けるポジショニング、意識をしていた。
チェルシーは、ウィリアンやトーレスがアトレティコCBを引き連れた状態でサイドに流れてボールを受けて、真ん中に出来たスペースにアザールがスプリントしてボールを受ける
または、サイドの高い位置でアザールとアルダが1対1になりファンフランがカバーリングポジションを取って1対2の状況を作ろうとした場面で、A・コールがファンフランの目の前をスプリントして、その対応に追わせて1対2の状況を作らせいなどの工夫があった。
前者はアトレティコに対応されてうまくいかなかった、後者は前半で数少ないアザールがドリブル突破を成功させてCKを獲得出来たシーンがあった。
一方アトレティコの攻撃はカウンターとポゼッションを使い分けていた。
チェルシーはスタメンに攻撃力のある選手が少ないためポゼッションの時SBを攻撃参加させて、人数を掛けなければならない。そこを突かれる。
ただし、チェルシーもCBがスライドして対応
ポゼッションで特徴的だったのが、左サイドに5人集めて狭いエリアでポジションチェンジをしてクロスを上げるパターンを頻繁に行っていた。
FWやSHがSBの裏をとってCBを外におびき寄せて、チェルシーの高さに対しての工夫を行っていた。
狭いエリアに5人集めていたのはネガトラでスペースと時間を奪うところまで計算に入れていた。
アザールにボールを触らせないように、アザールの逆サイドでの攻撃を多くしたのかもしれない。
前半は1-1。お互い流れの中のシュートが少なく、決定機もほとんど作れなかった。
後半
どちらもペースを握れないまま、53分にチェルシーがアスピリクエタ→エトー。
同時にアトレティコはシステムを4-1-4-1に変更。
エトーがトップの位置からバイタルに降りてボールを受けるのをスカウティング済みでの対応。
アンカーで潰しに行くまたは、CBが潰しに行ったところをアンカーがDFラインに入ってカバーするための戦術。
試合前の準備の大切さを考えさせられる。
その数分後の60分にそのエトーがPK献上。
ジエゴ・コスタがネットを揺らす。
65分 アトレティコ アドリアン・ロペス→ラウール・ガルシア
ラウール・ガルシアは高さ対策
デンバ・バに関してはエトー、デンバ・バを2トップにして二人共アトレティコCBに貼り付けてバイタルにスペースを作り、アザールとウィリアンがポストプレーでそのスペースを使おうとしているプレーが数回見れた。
アトレティコの2得点以降チェルシーはアザールにボールを集めFKの回数を増やし是が非でも勝ちにきた
数プレー後、1点目と同じ形でアトレティコ得点3-1。
アトレティコが左でポゼッションしている時に右SHのラウール・ガルシアが左に流れていて、マンマークで対応していたアスピリクエタも同サイドに。
ポゼッションが続き、アスピリクエタが自分のポジション(チェルシーのDFラインの左)に戻るタイミングがなく、その穴をファンフランが狙って崩した。
チームとして意図的にアスピリクエタのマンマークを逆手にとって釣ったと思ったのだがそうではなかった。
なぜなら、ラウール・ガルシアが右サイドに帰ってきていたから。
確実にアスピリクエタを動かしたいのであれば、ガルシアは帰ってこないはず。
この得点でチェルシーはまさしく集中を切らしてしまう。
前プレも連動してないし、リトリートして人数を揃えても、簡単にDFラインを突破されてしまう、守備ブロックとは言えないレベル。
ということで、試合終了。
アトレティコが久しぶりのCLで決勝進出という試合でした。
チェルシーはこのスタメンでアトレティコを崩すのは至難の技だった。
チェルシーで印象的だったのが、21分の右サイドでアトレティコの左SBと左CBをペナルティエリアからポジショニングで引っ張り出し、CB間の距離が開いた所をラミレスがフリーランニングで裏を取って崩した場面だった。
ラミレスもCB間をチアゴにカバーされないようにタイミングを計っていたのも素晴らしく、チアゴもカバーしかけていたが、遅れをとった。
チアゴからしたら分かっていたけどやられた感覚。
ちなみに、このプレー裏はとったが右CBのミランダにスーパーカバーされている。
アトレティコが一枚上手なことを痛感した。
そして、アトレティコの1,3点目のパターンは2度トライして2度スコアに結びついた。
圧巻。
はじめに
このブログは自分のデバイスに保存してある試合を分析して、アウトプットする役割があります。
需要はあまり考えませんので、2,3年前の試合とか平気でやります。
あくまで自分の為のブログです。
説明すること、あえて公開して批評されること、サッカーの勉強の鍵をつかめたらと考えています。
レスポンスするかわかりませんが、コメントウェルカムです。
CLなどの大きな試合は最新の試合をやると思います。
月4か5記事くらいのペースで行きます。