リバプール×セビージャ 15-16EL FINAL
立ち上がりはセットプレー、空中戦が多く、激しいコンタクトの多い試合で、
ゲームが落ち着かない展開となった。
原因はお互いが前プレと、ネガトラで高い位置でプレッシャーをかけるディフェンスをしていたため、お互いがロングボールを使ってリスクを回避することで空中戦が増え、それによりボール保持しているチームが入れ替わることが頻繁に起こり、スペースが生まれてカウンターが増え、1対1の場面が多かったことによるもの。
この時間帯はどちらかといえばリヴァプールが優位にゲームを進めた。
両チームともディフェンスの時間はフィールドプレイヤー10人がコンパクトで中央を閉めていた。
そこまではいいが、サイドの空いたスペースをリバプールはボランチが埋めていたのに対しセビージャはネガトラの局面でサイドに運ばれたときにディレイする選手が用意されていなかったので遅らせることができなかった。
リバプールが時間をかけずにそこを使っていたことも要因の一つ、攻守が切り替わったらSBが受け手となり、主にミルナーとチャンが積極的にノールックで出したりワンタッチで受け手に時間を与えるボールを供給していた。
15分頃からゲームの展開がリバプールがポゼッション、セビージャがリトリートのと言う時間が長くなる。
セビージャは前プレをやめ4-4-2のリトリートに切り替える。
リバプールはエムレ・チャンをCBの間に下げる戦術は変えず、最終ライン対2トップの数的優位は確保。
それに加え、ミルナーが相手2トップ横(セビージャから見て左サイド)にポジションを取り、合計4人が攻撃の出発地点になる。
そのリバプールは左サイドからの攻撃をメインとしていた。
リトリートで4-4-2を組んでいる局面でセビージャの右SH(コケ)はリバプールの左SB(モレノ)が自分の背後にポジショニングしたら、ついていくので5バックのようになる。
コケのいたスペースが空くのでそのフリースペースをリバプール左CB(トゥーレ)が運ぶドリブルで攻撃参加して、左SB、SH、流れてきたフィルミーノがポジションチェンジで突破のパターンが多かった。
左が詰まったら逆サイドのクラインでアイソレーションを狙うのがリバプールのパターンだが、セビージャはスカウティング済みで左SBですぐ対応していた。
決定機をたくさん作ることができたわけではないが、押し込むことができ、受身にさせることに成功したという意味で試合を優位に進めることが出来た。
一方セビージャはリバプールの前プレとネガトラを回避することがほとんどできなかった。
選手個人のパスやドリブルコースを切るポジショニング、更にそれをしつつも時にはボールホルダーに複数人でプレッシャーを掛けて追い込むプレス。
最終ラインもそれに連動してロングボールでも起点を作らせないことでセビージャの攻撃方法を潰していた。
バネガがリバプールのネガトラを個人技で2、3人いなしてはいたものの、周りが捕まっていて、出すに出せなかったり、考えているうちに後続が来たりで報われなかった。
セビージャの唯一の攻めては時折もらえるFKやCKだった。
34分にリバプールが ゴール。1-0
ビルドアップでロブレンからのロングボールを拾い、セビージャのDFが整っていない状況でのゴール。
試合はそのままリバプール優勢で試合が進み、前半終了。
後半開始1分経たずにセビージャゴール。ガメイロ1-1。
クロスのセカンドボールを拾ったマリアーノがそのままペナ横からペナ内に侵入してくラウンダーのクロスをガメイロ。
ペナ横でボールを持ったとき、リバプールはSHとSB2対1で対応したが、チャレンジアンドカバーの関係になっていなかったため間を抜けられた。
抜けられたあとCBとSBの間をボランチが埋める仕組みだが、エムレ・チャンが遅れて対応していた。
チャンの様子を見るとサボっていたようではなさそうだが、ゴール前を固める判断をしたのであれば人数的にカバーにまわった方が結果論の角度から言えばよかったと思う。
後半はセビージャがビルドアップの時に、CBと同列にボランチの選手を配置し、リバプールの高い位置からのプレスを人数の問題で狂わせた。
前線のプレスをかわしても、リバプールのコンパクトな守備組織は後衛がスペースを埋めているため、大きく試合展開を変えることにはならなかったが、ポゼッションによりチーム全体で前進する回数が増えたので、リバプール陣内でセビージャがプレーする時間が増え、小さいながらも間違いなく影響は与えていた。
そして、63分にセビージャがコケのゴールで逆転。1-2
前プレが嵌らなくなってきて、チームとしてディフェンスの開始位置を下げたものの選手各々の役割が曖昧になった所で一気にビルドアップからゴールまで持って行かれてしまった。
まさに、ビルドアップの修正が布石となったゴール。
このゴールまでの流れで、ビトロが個人技でリバプールの守備組織を3回揺さぶったのも見逃せないところ。
立て続けに69分コケのゴール。1-3
ハーフェー付近でのリバプールのミスからカウンターからの得点。
リバプールは1-2の直後にフィルミーノ→オリギ、
1-3の直後にララーナ→アレン。
82分にトゥーレ→ベンテケ
システムが強いて言うなら3-4-3で狙いはパワープレー。
攻撃も前線に並べたFWに向けてのロングボールとクロス。
ただ、迫力もなくシュートに至ることも多くはなく、最後の時間帯は危なげなく
セビージャが逃げ切った。