アウトプットツール

今年の9月スペインにサッカー指導者留学に行きます。それまでの期間限定ブログです。

パリ・サンジェルマン × チェルシー 15-16 CL Round of 16 1st leg

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今回は前半後半や試合経過など無視して戦術の部分だけを書きていきます。

 

PSGのポゼッション対チェルシーのリトリート

 

 

チェルシーのリトリート

 

4-4-1-1で守備ブロックを作る。

守備ブロックの特徴としては、ゾーンの気配が薄かった。(特にMFとSB)

ゾーンで守る場合、前回の記事のユベントスのように一人ひとりが点ではなく線で結ばれているようにプレスに行ったらカバー、ひとりが高い位置に行ったら連動、横にずれればついていく。そうすれば必然的にラインの距離感は大きく変わらない状態が保たれる。

ただ、チェルシーは人の意識が強く、マークの受け渡しはすることもあるが、自分のマークへの対応は持ち場を離れてついていくことも多く距離感が開くことが多かった。

 

 

 PSGのポゼッション

  

ポゼッションでの局面の選手配置4-3-3をベース。

SBがSHのようなポジションを取り、WG(ディマリア、ルーカス)が中央メインで

プレーをする。

イブラヒモビッチはゼロトップ。

中盤のボール回しや、サイドの崩しに絡むことが多かった。

中盤センター3人はスタートポジションはMFライン前だが、

バイタルやサイドの崩しのサポート、最終ラインのラインブレイクの為のスプリントなど、攻撃参加も多かった。

もちろん、全員ではなく1人か2人は中盤に残り攻撃のやり直しのサポート役とカウンター対応役をしていた。

 

 

お互いの基本形はこんな感じでPSGは色々な手を使ってチェルシーディフェンスを崩しにかかる。

幾つかのパターンを紹介したいと思います。 

 

 CBに対応させない(ピン止め)

 

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D・ルイスがルーカスにパスのシーン

丸の中はイブラとイバノビッチ

矢印が2本出ているのはミケル。二人に対応出来るポジションをとっている。

優先順位が高いのは自分の背後にいるルーカスの方が危険なので、前方を捨ててでもマークするべき。

多分、CBがイブラの対応でバイタルの対応に出れない事を把握できていないので。

バイタルに居る選手はCBに任せている。

 

 

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 CBがイブラのポジショニングによって対応できずにバイタルで前を向かれてしまう。

 

 

 

 

SBを移動させてスペースメイク

 

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丸で囲まれているのがババとルーカス。

マンマークの意識が高いマッチアップ。

 

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 ルーカスが中に絞ったことによってババも中に

 

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 最終的にはCBより中に移動し、本来SBのポジションにイブラ。

ディフェンス側からしたら、ペナの中なので手を伸ばしたら届く距離でマークしたい場面だが時間を作られてしまった。イブラに前を向かせることになってしまう。

 

 

 

DFラインに穴を空ける

 

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 ルーカスからディマリアにパスをしているシーン

SHが埋めるべきスペースだがSBについている為DFラインに吸収され5バックになっている。

 

 

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 ディマリアにパスが渡りSBが飛び出しプレス

 

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 SBが飛び出したことによってDFラインに穴が空きスルーパスのコースが生まれる

 

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 マクスウェルに完全に裏を取られて崩される。

 

 

 

オフザボールの選手が意図の感じるポジションを取り、味方の選手がプレーしやすい活かす動き、それに対して活かされる仕組みが多くあった。

90分間通してPSGはサイドからも中央からも攻撃のパターンをチームで共有できていて、実行できていた。

 

 

チェルシーはそれに対してオフザボールの選手を捕まえる意識を強めたり、(DFラインが吸収するようになったのは13分頃、立ち上がりは4-4の守備ブロックの形を維持していた)

後半からボランチに対してプレッシャーを強めたり、自分たちがボールを保持してそもそもPSGの攻撃の回数を減らして猛攻を凌いでいた。 

 

 

 

次はPSGのリトリート、4-5-1でチェルシーより人への意識が高い。

中盤の選手は自分のマッチアップしている選手にプレッシャーを掛けることに重きを置いていた。

なので、背後(バイタルエリア)にスペースが生まれることも多かった、カバーの優先順位も低く、中盤のラインを超えるパスコースの遮断も行っていないので、バイタルにパスが通る。

ただそこはCBが処理するので致命傷にはならないがかなり、個性のあるディフェンスではあった。

チェルシーのポゼッションは4-2-3-1で4人のアタッカーとボールサイドのSBとセスクで攻める。というざっくりとした形はあった。

左サイドからの攻撃が多かったが、ヒディングが就任して間もないからか、チームとしてどう攻めるかというのは感じられず、各選手たちのアイディアで攻めていた。

サイドからのクロスが多く決定機もあまり作れなかった。

 

 

後半はアタッカー4人でのカウンターメインで行く意思統一をして、PSGの攻撃が終わりそうになったら早い段階でSHがデスコルガードをするようになりフィニッシュの回数が増えた。

それは試合展開にも影響を与え、チェルシーのカウンターの回数が増えたことによって、オープンな展開になった。

 

 

 

 

最終的なスコアとしては、2-1

試合結果としては1点差だが試合内容では差を感じた試合だった。

 

PSGは攻撃に関しては素晴らしいものを見せてくれた。

高い位置からのプレスも1タッチ、2タッチで華麗に交わし、ポゼッションも多くのレパートリーを持っていて、カウンターも個人能力の高い選手たちがコンビネーションでフィニッシュまですんなり行ってしまう。

高い位置からのプレスもこの試合で普通にやっていた。

ただリトリートはCL決勝トーナメントレベルだと弱点とは言わないが、そこを狙ってくるチームが出てくる。

人の意識が強すぎるのでそこの攻略がうまいチームだとやられるだろう。

ただ、ボールを持つことがめちゃくちゃうまいので、弱点と隠すことが出来るので致命傷にはならなそう。

CLベスト4に入る実力は備えているという印象を受けた。

 

 

チェルシーは ポゼッションでチームとしての意図を感じれなかった。

それで崩せるのであれば問題ないが、チームの共通認識がないと相手の守備ブロック

を崩すのは難しくなってくる。

リトリートも人を捕まえきれていないシーンがあり、攻守に組織力に問題があることに、今シーズンの不調を感じた。

最後のところでゴールを割らせないCBとGKの高パフォーマスは記しておきたい。